Chapter 12
もうひとつの
「地球の歩き方〜リマ編」(5)
知られざるリマのチェックポイント
§§ カフェ・レストラン“ Mangos ”
〜 そして眼下の海 〜
リマは北のカヤオ港から南のチョリージョスの港にかけて、太平洋がゆるやかな弧を描いて湾を形成しています。
湾の一番奥まったところ、つまりカヤオとチョリージョスのまんなかあたりにミラフローレスという地区があります。
旧市街セントロに代わって、1970〜80年代からリマの新しい中心地として注目を集めているところです。
そのミラフローレスの目抜き通りのひとつ“ Av.Larco ”(ラルコ通り)が海岸まで延びて行き止まったところが“ Larco Mar ”(ラルコ・マール)です。
ミラフローレスでも特におしゃれな店が集中した繁華街です。
海岸から一気に100メートルほど崖がかけあがった上に広い公園があり、周囲はインターナショナルホテルや高級マンションが立ち並びます。
それに続いて崖を削る形で地下1階、地下2階と商店街を設け、ブテイック、CD店、ファーストフード、ボーリング場、デイスコ、映画館からカラオケまでが、真ん中の広場を取り巻く形で取り囲んでいます。
もちろんカフェやレストランも〜。
広場が吹き抜けになっている上、海が望めることから「地下」という感覚は全くありません。
そしてカフェ、レストランの一部は海に面していてもちろんオーシャン・ビューです。
そのうちのひとつ“ Mangos ”は、店内の席とは別に、さらに海側にオープンエアの席が設けられていて、崖のふちに沿ってパラソルの下にテーブル席が置かれています。
崖の手すりと数本の木以外に視界をさえぎるものはなく、オーシャン・ビュー「以上」〜海一人占め〜のシチュエーションです。
リマ沖海流からの“贈り物”リマ特有の「微風」が肌をなでていきます。
昼は、どこまでも穏やかな太平洋がはるか沖の霧に消えるまで続き、晴れた日には北にカヤオの岬と、その先に浮かぶ二つの島が姿を見せます。
夕暮れ、太陽は水平線に達する前に、深い霧の中に“溶けて”いきます。
くっきりとした水平線に没していく日本の夕陽とはまた別の情景です。
そして夜、下の海岸線を辿る車の小さなあかりが南に続き、家々の灯がチョリージョスの丘で途切れた先は太平洋の闇となります。
12月から3月頃にかけての“夏”は夜の微風も心地よくて〜。
そして、5〜6月から8〜9月頃の“冬”〜日本の春くらいの気温ですが〜は、夜やはり微風に寒さを覚えるときがあります。
そんなとき“ Mozo ”(ウェイター)に告げるとテーブルごとにストーブを置いて、足元を暖めてくれます。
これがまたなんともいいがたい風情を醸しだします。
暖かな店内の席に移ることももちろんできますが、そんなことをする客は一人もいません。
そして、こんなとき飲むのは〜なんといってもピスコ・サワーです。
“リマ・サワー”などピスコ・サワーのバリエーションも揃い、グラスを手に視線を足下に落とすと、やや北の位置に海上レストラン“ Rosa Nautica ”のあかりが見えます。
(あのバーから見上げたラルコ・マールの灯は、ちょうどこのあたりになるのだろうか〜)
海と、風と〜。
一体となった空間を楽しむ人たちのひそやかな談笑が深夜まで続きます。
もし私がこのレストランのオーナーだったら…。
店の名前はこうします。
“ Brisas Nautica ” それとも
“ Brisas del Mar ”
どちらも(海のそよかぜ)〜。
<2003・4・21>
4-5-3, Honmachi, Chuo-ku, Osaka 541-0053
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