Chapter 7


スーパー( Super mercado )

《Part.1》


<スーパーは一階建て>

リマには大手スーパーが3つあります。
サンタ・イサベル(Sta.Isabel)、ウォン(E.won)、メトロ(Metro)です。
ところが実際にはメトロはほとんどみかけません。
サンタ・イサベルとウォンはたいていのおもだった街角でみかけますし、また
多くの場所でこの2つの店は近接しています。
テレビのコマーシャルではメトロもよく目にしますが、前に住んでいた地区でも
こんどのApartamentoの近くでも、またこのごろ出歩く街でもどういうわけか
でくわしません。
親しくなったタクシーの運転手の人によると、ウォンとメトロはどちらも中国系の
同じ経営者で、ウォンと違いメトロの方は取り扱い商品に衣類、電気製品、各種
専門品を加え、価格設定もウォンより低めにして
顧客層の差別化を図っているようです。
店舗の数も極端に少なく、3〜4店舗しかないということで、
まだまだ行動範囲の狭い私の目に留まらないのもうなずけます。
 
サンタ・イサベルとウォンのショッピングのシステムは日本と大きくかわるところは
ありませんが、細かい点になるとだいぶん様子が違います。
まず1店舗あたりの敷地面積は日本の中型スーパーぐらいで、原則一階建てです。
したがって食料品中心で、日本のように衣類、電気製品、家具、スポーツ用品や
CDなど専門品などはありません。
小さなカフェテリアで簡単な食事ができたり、書籍や文房具がが少し置いてあった
りすることはありますが、それらの品揃えは少ないです。
駐車場は店の前に10数台分あるだけですが、食料品中心で回転が速く
車がはみ出すことは少ないようです。

<レジはベルトコンベアで>

スタッフは男女とも全員10代から20代の若い店員です。
レジは女性で、日本と違いいすにかけています。
客は手提げ型かカート型の買い物かご(だいたい日本と同じ)で買い集めた商品を
レジの前でかごから出し、カウンターのうえに乗せます。
するとレジ係がボタンを押し、ベルトコンベアで係の前まで移動させます。
そこでバーコードで値段をチェックし支払いを済ませレジ係がふたたびボタンを
押すと商品がさらに前に進み、そこで待ち受けている男性の店員がビニール袋に
詰めてくれます。
日本のようにレジ係がバーコードを通した後1個ずつかごに戻し、清算が済むと
客がまたかごから出して袋に入れ直すよりは合理的にできています。
男性店員の仕事はそれだけではなく、荷物が多い場合、自分で持ってくれたり
持ちきれない場合はカートに乗せて客の車まで運んでくれます。
また、家が近い場合、頼めば家まででも運んでくれます。
この点、日本のスーパーより断然サービスはいいです。

<ソルでもドルでも>

通貨ですが、公式通貨ソルと米ドルのどちらかで支払います。
値段の表示カウンターにはあらかじめソルと米ドルの両方が
表示されるように設定されています。
お釣りは客の希望に応じてソルでもドルでもどちらでもくれますし
両方を混ぜるよう頼んでもその通りにしてくれますが、
高額紙幣で払ったときは、おつりも同種の通貨でしか
くれないときもあります。
両替目的で意識的にそうする客がいるからのようです。
スーパーに限らず、一般の商店でもほとんど両方通用します。
まれに小さな店でドルを出すと「ソルはないか?」といわれることもありますが
少ないです。
そして一般的に高額の商品はどちらかというと米ドル建てで表示されていることが
多く、ソルに対する信頼性が相対的に低いといえそうです。
これはたぶん、7〜8年前までの強烈なインフレの影響ではないかと思います。
インフレでソルの価値が下がっても、米ドルで持っていれば影響は少ないからです。
実際、私がリマに着いた8月末にくらべ、フジモリ大統領の辞任発表を機に
政治情勢が流動的になってから、若干ソルが下がっています。

<1ソル=30円>

フジモリ大統領がインフレを沈静化させてからの期間が相当あって、
以前のような急速なインフレ心理はいまのところ見られませんが、
政局がさらに悪化すればどうなるかわからないというところです。
そしてソル⇔ドルの換算レートは毎日変わり、スーパーの店内に
大きく表示されています。
8月末は1ドル=3.45ソ−レスぐらいだったと思いますが、
最近は3.51前後です。
どちらにしても1ソルはちょうど30円くらいということになります。
ソル⇔ドルの交換は銀行はもちろん、民間の交換業者の店も街の要所々々にある
ほか、街角で個人で通行人に交換をよびかけています。
個人の方が交換レートが有利なので(ソルにとって)
結構それを利用する人もいるようですが、ときどき偽札を渡されることがあるので
「やめておいたほうがいいですよ。」といわれています。
これはその業者が悪意でするというよりも、偽札を正確にチェックできないか
しないかで、いつのまにか入っているということのようです。

<偽札チェックもレジの仕事>

偽札のチェックはスーパーのレジでも励行されていて、20ドル札・50ソーレス
以上のお札で払うと、レジの女性が両手で広げ、上にかざしてスカシを見たり、
ひっぱったりしています。
最初は疑われているみたいであまりいい気持ちがしませんでした。
たださえいすにすわり(レジの器械と係がカウンターに並行していて、係は器械に
向かっているので客からは横向きになり、日本人の感覚だとそれ自体
なんか“横柄”な感じになります。)一応“Gracias (ありがとうございます)”とは
いうものの小声で事務的なこともあってよけいに冷たい応対という感じは
まぬかれませんでした。
最近は少し受け止め方が変わってきて、偽札のチェックもシニョリータたちにとって
は必要な仕事なので、神妙な顔でスカしたり引っ張ったりしているのを見ると
おかしくなったりします。

<実はやさしいシニョリータたち>

冷たいと思っていたシニョリータたちも必ずしもそうではないとわかるときもあります
サンタ・イサベルのレジで精算しているとき、ウォンで買った小さな袋を持っていて、
係りは「それもコンベアに乗せないといけない。」というので袋の「ウォン」のマークを
見せると笑いながら“Disculpe! Disculpe! (ごめんなさい)”を繰り返します。
(あとで書こうと思いますが、正確にはこれは私のほうがルール違反なのです。)
また、お釣りの半端を避ける為に、「あと10セント持ってないか?」などと聞かれる
ときがあります。
とっさだとよくわからなくて、ポケットの小銭を全部出してジャラジャラ探していると、
いっしょになって探してくれ、見つけると喜んで「あ、これこれ」といって値段の
表示板の数字を示しながらそれでちょうどになることを説明してくれます。
ちなみに1ソルは100センチモ(ふつうは“セント”と呼んでいます)で、物の値段も
1セントまで表示されています。
ところが実際には最小単位のコインは10セントまでしか流通していません。
それで1セント単位のところは四捨五入され、4セントまではまけてくれますが、
5セント以上は切り上げて10セントになってしまいます。

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