Chapter 8

スーパー

《Part.2》

( Super mercado )
< 領収書はしっかりと>
   
スーパーのレジであと違うところは、支払いのとき必ず“ boleta o factura ? ”と聞かれることです。
boleta はいわゆる“レシート”で factura はいわば“正式領収書”にあたります。
普通は“ boleta ”ですが、会社などの経費で処理するとき、あるいは個人でも場合によって“ factura ”が必要になります。
はじめのうち(というよりごく最近まで)聞かれてもよく分からないのでとにかく“ Si ”
( Yes )と答えていたのですが、あるときレジの様子が違い,なにか言っているようでわけがわからず戸惑っていると、joven(荷物係の若い男性〜この場合だけでなく一般に若い男性に呼びかけるときjoven=ホーベン=“若い”という形容詞 を使うことが多いです。店員・タクシーの運転手などにも使います。)が寄って来て同じようなことを言いますが結局わからず、二人は顔を見合わせ“仕方がない”というそぶりでいつも通りの支払いをわたしに求めました。
あとで人に話すとそれは“ factura ? ”と聞かれて“ Si ”と答えたからだそうです。
“ factura ”を発行してもらうときは住所・氏名などのデータが必要だからだそうです。
ペルーに移り住んで2年以上になるという人にこの前その話をしました。
答えは「そうなんですか。いままでわたしもわからないままいつも“ Si ” と言っていました。」

(???の支払い方式>

もうひとつ、店内の一部の商品を買うとき、一度商品名をメモしてもらい、それを持ってレジに行き、先に支払いを済ませてメモに領収印をもらった上、ふたたびもとの売り場に戻ってメモと引き換えに商品を受け取ります。
例えばミスタードーナツとか特定のケーキなどです。
日本でもスーパーの中に特定の業者が売り場を設けているケースはよくありますが、代金の精算はレジでいっしょにできるのが普通だったと思いますが〜。
販売の主体が違うことで精算システムが違うのなら、それはそれでもっともかなと最初納得していたのですが、どうもそうではないのです。
ウォン自身文房具の売り場を持っていて普通のもの〜ノート・バインダー・ホチキス…〜は他の商品と同じですが、ボールペン・ダブルクリップ・消しゴムなどは
メモ方式になります。
で、小物はメモ方式になるのかと思うとそうではなく、1枚0.2ソーレスの色紙
などは“普通方式”です。
どうして分かれるのか聞いてみたいところですが、説明されてもどうせわからない
ので不思議に思いながらもシニョリータの指示に従っています。

<ポイント集め>

それからポイント制の買い物カードがあるかどうかもレジで聞かれます。
“ Tarjeta ? (カードは?)”
5ソ−レスごとに1ポイント与えられ合計ポイントで景品をくれることになっています。もし忘れたりしてカードなしで買うとレシートに「もしカードを持っていたら○○ポイント獲得できたのに〜」という“親切な”表示がされます。

<進んでいる計量システム>

野菜・果物・肉・魚は基本的にキログラム単位で値段が設定され
ています。
野菜と果物は透明のビニール袋にすきなだけ入れ、計量器のところへ持っていき乗せると係りが種類のボタンを押し、瞬間に種類・重さ・値段をバーコードで表示した小さな票が打ち出されそれをビニール袋にペタッとはりつけ脇の器械にガチャンと通すと袋の口がちゃんと閉められて
渡されます。あとはそれをレジで他の買い物といっしょに精算します。
このシステムは日本より進んでいるのではないでしょうか。

<刺身も手軽に>

魚の切り身や肉は重さを言えばその通り係りが量ってビニール袋に入れ、やはり計量器にかけ、口を閉めて渡してくれます。
一匹単位の魚は指定した数だけ計量した上で、こちらの希望通りにその場で処理してくれます。
魚といえばサシミと、残りの骨・頭のアラ煮きしか他に方法を知らない私はいつも「サシミ」と告げるとjoven はOKという表情で威勢良く処理にはいります。
細くて長い包丁で手際良く3枚におろし、皮をはいでくれます。
腹わたは専用のカギ状のもので2〜3回かきだすとアッというまにきれいにとれます。
途中で2〜3度、そして最後にシャワー(お風呂のシャワーより一段と
勢いのいい)を“噴射”して洗うのでこれもアッというまにきれいになります。
あとはやはりビニール袋に2重に入れ、口閉じ器で口を閉め、最初に計量した
バーコードを貼ってわたしてくれます。
全体の所要時間は日本よりだいぶん短いのではないかと思います。
何よりそのきびきびした手際が見ていて気持ちがいいくらいです。
見とれているうちにウッカリしていると頭と骨も勢いよく下の処理済のアラのバケツにほうりこまれそうになります。
あわてて“ Voy a llevar cmisa .(頭も持って行く)”というと、振り向いて“ Si ”といいながら頭もシャワーし、大きな骨は包丁の背中で適当にたたいてくれ、別のビニールに入れて渡してくれます。

<キログラム単位の豪快買い物>

パンもやはりキログラム単位です。
10種類から20種類のパンの中から自由に袋に入れ、計量してバーコードを貼ってもらいます。
値段が2種類に分かれていてそれぞれ別の袋に入れてもっていきます。
気づかず混ぜて入れてしまっても係りは目ざとく見つけ、「これは値段が違う」と言って別の袋にします
キログラム単位というのが一人暮しにはちょっとつらく、ハムなどを買うときはどうしても小さな声で“ Dos Cientos (200グラム)”といってしまいます。
200グラムでも負担なのですが〜。

<豪快過ぎてツライ・・・>

全体にペルーの人は食欲旺盛で、肉でも魚でも豪快に買います。
となりでキロ単位で買っているとグラム派はなんとなく肩身が狭いです。
と、こぼしたらこちらの人に言われました。
「岡田さん、そんなの平気、平気。 100グラムでも50グラムでも売ってくれますよ。」
それどころか例えばクスリなどの場合、錠剤だと1錠単位で売ってくれるそうです。
ある人が子供にクスリを買いにやらせて、戻ってきた子供が1錠しか持って
いなかったので聞くと、「1錠だと思ったから。」のようなケースもあったそうです。
とはいえ、鯛とかヒラメなど一匹単位の魚、パパイヤなど一個が大きいものなどは
どうしても一度買うと続けて食べないといけなくて、時々食べきれないうちに悪くなり
捨てるというもったいない事態になります。
いつかも鯛を買い(一番小さいやつだったのですがそれでも)4日続けて食べ、
最後に5日目、たぶん大丈夫だと思いましたが、なんとなく気になり
思いきって捨てました。
魚には目がない私としては断腸の思いでした。
日本でならゼッタイ捨てないところですが、やはりここでお腹をこわしては〜と。

<買い物は空身でお願いします>

こちらのス−パーでは電気・電話・水道の料金も取り扱っています。
どのスーパーにもサービスカウンターがあり、プレゼント用に包装(無料)して
くれたり、荷物を預かってくれたりするところですが、電気・電話料金もたいてい
そこで扱っています。
この荷物預かりは一種のルールのようなもので、荷物を持ったまま商品を物色し
ていると、専門にいる係員に注意されます。
特に他の店やスーパーの袋はきびしいです。
たぶん、“置き引き”防止のためでしょう。
<スーパー(1)>で紹介したようにサンタ・イサベルでウォンの袋をもったまま
買い、レジで指摘されたのは、ですからわたしのルール違反ということになります。
小さな袋だったのでシニョリータのほうが“ Disculpe (ごめんなさい)”と
いったのですが〜。

電話番号案内を公衆電話からするのがめんどうだし、方法もわからなかったので
このサービスカウンターに聞いたところ、係りが聞いて調べてくれたので料金を
支払おうとすると、“ No necesita (いらない)”と言われました。
意外に親切なところもあります。
かと思うと包装や荷物の預かり、引き取りなどで客がたてこんで何人も待っている
ときでも、なかなか応援は来ず、シニョリータはいつも通り特に急ぐこともなく、
ややこしい電話料金の客の応対にかかりきっています。
時間には鷹揚なペルーの人たちも多くは平然と待っていますが、さすがにこのとき
はいらだつ人もいます。

鷹揚というかいい加減というか、なんとも面白いのは、商品の交換です。
リマ市内の地図が必要になりウォンの文房具売り場で買いました。
見ると表紙がめくれているし、中のページも乱雑になっていて明らかに使用した
(あるいは見本として展示してあった)と思われたので「新しいのに取り替えてくれ」と
頼むと「今はない」と言います。
  シニョリータ: どうしても今日必要か。
  わたし   : そう。
  Sta.    :  じゃあ、今日はこれを使ってくれ。 3週間後に新しいのが入るからそのとき新しいのと交換する。
  わたし   :  わかった。          
3週間後、地図をもって取替えに行くと「まだ来ていない。あさって入る。」
さらに4日後ぐらいに行っても「まだ入っていない。明日必ずとりよせる。」
それでやっと翌日とりかえることができました。
期限があてにならないのは前にもクリーニングで経験済みだったので「どうせそんなことだろう。」とは考えていましたが大手のウォンにしてこうです。
地図にいろいろしるしをつけたいので早く取り替えたいと多少いらいらしていたわたしですが、何回行っても「まだ」「まだ」といわれて腹がたたないところはもうりっぱなペルー人なのでしょうか。




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